駒場の森、学徒の森、日本の最高学府東大。
そこはまたニッポンチャレンジの頭脳でもある。
 
 
TODAI
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MIYATA
ニッポンチャレンジのシンジケート(組織)の技術開発部門が「AC-TECH」である。

「AC-TECH」では、東京大学 工学部船舶海洋工学部 宮田秀明教授のもと、ニッポンチャレンジのアメリカズカップ艇のすべての設計が行われている。

コンピューターが所狭しと並ぶ研究室は戦前からの建物と思われ、かなり歴史を感じる。ここで最先端技術のハイテクを駆使したACボート(アメリカズカップ艇)の開発が行われていると思うと想像を絶する気がしたが、ここは東大伝統がすべを包み込む。

アメリカズカップの長い歴史のなかでも、国立大学が中心となり艇の開発、設計を行っているのはこのニッポンチャレンジだけだろう。 研究室のスタッフは大学院(修士課程)を一時休学して参加している者や、東大OBで勤めを退職してまで参加をした者など、それぞれ皆宮田教授の集めた優秀な頭脳達なのだ。

前回アメリカズカップは1995年サンディエゴ(アメリカ西海岸)で行われ、ニュージーランドチームの圧勝に終わった。ニッポンは健闘むなしく、チャレンジャーシリーズ(ルイ・ヴィトン カップ)でベスト4まで進んだものの、本戦に出場を果たすことが出来ずくやし涙を飲んだ。

アメリカズカップを制するには速い船と優れたクルー。クルーの能力は「世界レベル」といっても過言ではない今、もっとも勝敗を左右するのはやはり早い船と言えよう。「勝敗の明暗を決する上で艇がしめる割合は非常に高く、6〜7割をしめることになるだろう。」と宮田教授は語る。

前回のニュージーランドチーム(ブラックマジック NZ38)を見ても、あの他を寄せつけぬ速さは艇の開発の成功が大きな鍵と言われている。

宮田教授は前回1995年のチャレンジを振り返り、こう分析する。

「実質1年半、時間があまりになかったため、やるべき事ができなかった。従来の延長線上で手持ちの技術を結集して何とかするのが精一杯で、新しい開発プロジェクトを計画する時間的余裕が全くなかった。それが一番の敗因です。」
 
 
では今回の挑戦 について聞いてみた。


宮田氏コメント---------------------------------------------------------

一番にあげられるのは、優秀な人材、科学的な設計が出来る人を集める事です。

まずはこの人材確保が重要で、現在非常にタイトでしたが、思っている80%は出来てきているとおもいます。技術開発をしながらレベルも向上し、他チームにはない最高のレベルになっています。

また、セーリングチームとの連携も実にうまくいっていて、艇長のピーター・ギルモアとの信頼関係は日増しに強いものになっているんです。

さらに、全ての要素の分析とそれらを組み合せ、実際レースをやってみたらどうなるかというシュミレーションのシステム化がかなり現実的なものになってきています。今回、最大の特徴はやはりこの「バーチャルリアリティによる船の設計」でコンピューターにるシュミレーション帆走を行う事です。

ニュージーランドの気象データやこと細かなデータをインプットしていろいろな状況を想定し、艇をバーチャルリアリティ上のレース海面で走らせています。アメリカズカップ艇の建造には途方もないコストがかかるので実物の試作が出来ないので、バーチャルリアリティーで全てを完全に補うようにしています。

しかし設計の最終段階に到るまでには、縮尺模型を100艇以上試作し、水槽タンク実験も行う必要もありました。設計も最終段階に入ってきましたが、これからが一番大変です。今までの研究でいろいろなプラスの結果の中から一番いいのを決め、風との相談でチューニングしなければならないからです。
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宮田教授は静かに、次回に賭ける熱き思いを語ってくれた。

来年、新艇の進水はベースキャンプがある蒲郡の三河湾で行われ、今からちょうど1年後ニュージーランドに向けて船積みされる。
いよいよ挑戦の始まりである!! がんばれ!!ニッポン!!
あの銀カップで日本人がシャンパンを飲む日も夢ではないかもしれない。


取材・文/グローバルサイバーネット 伊藤 一実


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